平成23年度千葉県私立高校入試結果について
根強い公立志向、私立高校進学希望者の減少が続く

上図は、過去5年間の県内私立高校出願総数の前年対比の伸び率を、県内国公立中3生徒数の増加率とともに示したものです。グラフでは昨年を除いて私立高校の出願数は常に前年対比マイナスで推移しています。昨年は人口増加の年でしたが、出願総数は中3生の伸び率を上回る増加でした。今年は生徒数とほぼ同じ減少です。
一昨年までは中3生徒数がマイナスでも横ばいでも私立高校の出願総数は減少していました。根強い公立志向や私立高校同士の併願校数の減少が原因です。昨年の増加は中3生徒数の増加が大きな理由ですが、出願総数がそれを上回ったのは、都内私立高校で1月の他校併願前提の入試が中止されたため、1月中にどこかの私立を決めておきたい受験生が県内私立高校に流れ込んだためです。今年は、都内からの受験生流入が落ち着いたことで生徒数減少にほぼ見合う出願数の減少で、総数は約57,200件でした。
中3生の進路希望調査では私立進学希望は13.7%と、昨年の11.6%から上昇し、この10年で最高になりましたが、出願総数は増えるどころかマイナスになっています。これは難関校・上位校を中心として、私立高校同士を併願し、挑戦しようと考える受験生が増えたのではなく、早めに単願・専願や第一志望入試で合格を決めようとする受験生、つまり「難関校・上位校でなくても、公立よりも面倒見が良い私立に」と考えた受験生が増加した結果です。したがって、私立高校の出願総数は減っていますが、質的にはやや変化した入試でした。

この表は、出願の内訳です。前後期別では前期が増加、後期は減少しているため、私立高校受験の9割近くは前期の受験になりました。また、女子校の人気はパッとせず、今年も出願が減少し、出願総数に占める割合は4.2%でした。
募集関係の主な変更について
二松学舎大附属沼南は、校名を「二松学舎大学附属柏」に変更しました。開校当時は東葛飾郡沼南町に開校したため、「沼南」を名乗っていましたが、2005年に沼南町が柏市に編入され、実態と合わなくなっていました。今春から中学を併設することになり、この機会に校名を変更となりました。
学科・コースの改編では、敬愛八日市場が進学と普通情報の2コースを一括募集とするほか、拓大紅陵が人間科学の、東京学館船橋がファッションデザインの募集を停止しています。千葉聖心は特進を新設しました。千葉国際は特進をビジョナリー特進に、一般進学をビジョナリー進学に改称、麗澤は国際をILCに改称しています。
また、公立高校の入試改革と曜日配列の関係で、全県で前期入試の開始日が1月16日から17日に1日遅くなり、後期入試の開始日が1月27日から2月5日と9日遅くなりました。単純に前期を1日、後期を9日遅らせた学校が多数派ですが、他校との併願関係を検討して微妙に遅れの幅を変えたり、日程を追加、廃止している学校もありました。芝浦工大柏や八千代松陰などは前期入試の回数を増やしています。他校併願受験生の増加を図ったものでしょう。特に八千代松陰は1月18日と20日という、千葉では珍しい「中1日空き」になりました。19日のままで動かなかった日大習志野との併願受験生の便を図ったものでしょう。
前期で併願推薦を新たに実施したのは千葉敬愛、東海大浦安、日出学園などで、受験生が前期入試へシフトしているための対応策です。県内全域で前期主体、後期は追加募集的な色合いが濃くなってきています。
私立各校の概況
《総武線・京葉線・東葉高速線方面》
まず女子校から。女子校は全体的に人気がいま一つです。トップ校の国府台女子学院は昨年志願者増だった英語科の志願者減が目立ちます。合格ラインも少し下がっているようです。昨年選抜コースを新設した普通科は、選抜コースの浸透が進んだようで、やや志願者が増加しました。合格ラインは昨年並みでしょう。
植草学園大学附属と和洋国府台は昨年並みの志願者数でした。落ち着いた人気ではありますが、長期的には志願者が減少傾向です。不二女子は珍しく後期主体の入試です。そのため、併願受験生の多くは他校に流れているようです。昨年に続き、今年も志願者減でした。特進コースを新設した千葉聖心も、浸透が不十分だったようで、やはり特進志願者も少数に留まり、合計で昨年並みの志願者数でした。各校とも難度に変化はなさそうです。
男女校では、今年から後期入試の日程が県内全校で後送りになったため、その影響が出ている学校があります。その代表例がトップ校の渋谷幕張です。前期と、女子の後期の志願者数は昨年並みですが、後期の男子は減少しました。後期日程の変更で慶應志木と重なったからでしょう。合格ラインは前後期とも例年並みです。東邦大東邦は前後期ともやや志願者が減っています。特に前期は昨年増えた男子が減少しています。昨年の反動かもしれません。後期の合格ラインが少し緩和しているようです。市川は男女とも志願者減になりました。やはり昨年増加した反動でしょう。ただ、前期は若干合格ラインがあがっているようです。後期は逆に少し緩和しています。昭和学院秀英も市川同様志願者が減少しました。ただ、後期は昨年よりも合格ラインが上がっているようです。受験生が絞られたのでしょう。前期は昨年並みでした。
日大習志野は昨年並みの志願者数ですが第一志望が増えています。建設中の新校舎への期待もあるのでしょう。後期はやや合格ラインが上がったようです。前期は昨年並みでした。附属カラーが強い千葉日大第一は昨年、前期で併願扱いを開始したことから志願者が激増しましたが、今年はその反動で前期が減少しています。特に併願受験生が大きく減りました。合格ラインには大きな影響はなさそうです。
同じく附属カラーが強い東海大浦安は昨年の千葉日大第一同様、前期で併願扱いを始めたため、前期の志願者が大幅に増加、後期は大きく減少、合計ではやや増加となっています。やはり併願受験生中心の動きなので合格ラインに影響はありません。
日出学園は前期のみの入試で、昨年並みの志願者数でしたが、併願受験生の合格ラインが上がっているようです。受験生の学力層が変化しているのかもしれません。千葉商科大は商業の志願者が増えていますが、特進と普通はやや減少しています。併願受験生が他校に流れたのでしょう。後期の進学は合格ラインが少し下がったかもしれませんが、他は昨年並みです。千葉経済大も志願者が減少していて、特に普通の前期と各科の後期の併願受験生が減少しています。やはり他校に流れたのでしょう。敬愛学園も志願者が減少しています。難度はあまり変化がなさそうです。桜林は昨年と大差ない入試でした。
昭和学院は前後期とも昨年に続いて志願者が増えました。新校舎効果が継続しているようですが、難化はしていないようです。東京学館浦安は特待の併願を中心に志願者が増えています。前期の一般合格ではやや合格ラインが下がったコースもありますが、後期は合格ラインが上がったようで、厳しい入試だったようです。姉妹校の東京学館船橋も志願者が増加していて、増加の中心は全コースとも推薦単願と推薦併願です。ファッション科を募集停止とし、だんだん専門学科イメージから脱却しつつあるところが評価されたのでしょう。東葉も志願者が増えています。併願が多いことから、難化はしていないようです。千葉明徳は昨年に続く志願者増です。特進や総進Sでは専願受験生が増加しました。中学を開校しますので、好感度が上がったのかもしれません。合格ラインは昨年と大きな違いはなさそうです。
《常磐線・北総線方面》
唯一の女子校、聖徳大附属女子は志願者がやや減っています。女子校人気がいまひとつなことが理由でしょう。一般入試は若干合格ラインがあがっているようです。男女校では二松学舎大沼南が校名を「二松学舎大柏」に変更しましたが、中学を開校することもあり、好感度が上がっているようで志願者が増えました。合格ラインは昨年と大差ないと思われます。芝浦工大柏が入試の新設で志願者増、合格ラインも少し上がっているようです。専修大松戸も志願者が増えました。A類型の増加が中心です。合格ラインはE・A類型とも少し下がっているかもしれません。我孫子二階堂も志願者が増えています。総合だけでなく進学も増えていますので、大学進学への期待感かもしれません。合格ラインは昨年並みのようです。
流通経済大柏と中央学院は昨年並みの志願者数でした。難度も昨年並みでしょう。麗澤は志願者が減っていますが、1回は各コースとも合格ラインが少し上がっているかもしれません。2回は昨年並みでしょう。柏日体は専願の志願者は増えましたが、併願がかなり減りました。併願受験生が他校に流れているようです。西武台千葉も減っています。地域的に埼玉からの受験生も多い学校ですが、埼玉の就学支援金が県内高校のみ対象なので、千葉県内の高校を選ぶ受験生が減っているのかもしれません。各校とも難度に変化はなさそうです。
《京成・東葉線~県中央部》
八千代松陰は前期入試を2回としたため、合計するとやや志願者が増えています。ただ、後期は大きく減少していて、受験生の前期へのシフトが続いています。秀明八千代はやや志願者が減っています。両校とも難度に大きな変化はなさそうです。千葉県では珍しいプロテスタント校の千葉英和はやや志願者が減っています。もともと隔年現象的な増減を示している学校ですが、特進や英語といった、上位コースの併願受験生が他校に流れたようです。第一志望の人気に変化はありません。東京学館は昨年並みの志願者数で、各コースの合格ラインも昨年並みでした。成田は昨年並みの志願者数ですが、やや女子の人気に陰りが出ているようです。合格ラインは前後期とも若干上がっているようです。受験生が絞られたのでしょう。千葉敬愛は今年から前期で併願を開始したため、前期の志願者は大幅増、後期は大幅減となりましたが、トータルでは昨年並みです。時期が違うため単純比較はできませんが、前期一般の合格ラインは昨年の後期よりもやや上がっているようです。千葉黎明は志願者数が増えました。特進よりも普通一般や生産ビジネスの増加が目立ちますが、特進希望でも実力がないと普通一般にスライド合格となるので、特進の合格ラインは昨年並みでしょう。この地域唯一の女子校、愛国四街道は併願受験生が増加しています。昨年の志願者がやや減ったことの反動かもしれません。合格ラインに目立った変化はありませんでした。

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